
示・警告を行い、製品の安全性を確保していく必要があることになり、それを怠った場合には、たとえ、誤使用や目的外使用によって生じた事故であったとしても、製造業者などに責任が発生する可能性がある点に注意を要すると言える。
「当該製造物を引き渡した時期を考慮する」とは、欠陥判断の基準となる時点は製造業者などによって製品が流通に置かれた時点とし、仮に、後になって、より安全な製品が市場に登場したとしても、それだけで残存している旧製品が欠陥製品とみなされることはないという意味である。警告ラベルや取扱説明書などの「製品の表示」については、条文上、明記はされていないが、当然にこれらの考慮要素の中に含まれていると解されている。従って、製品の警告ラベルや取扱説明書の不備も製品の欠陥とみなされることになるつなお、欠陥とはあくまで安全性に関わる概念であり、従って、単なる性能不足、品質不良で安全性との直接の関連がないものについては、PL法の対象とはなならない。例えば、火を吹くテレビがPL法上の欠陥製品であることは言うまでもないが、音が出ないテレビや映りの悪いテレビは(それだけでは、人の生命、身体、財産に危害が及ぼされることはないことから)PL法上の欠陥製品には該当しないことになる。
(4)責任主体
第二条(定義)第3項
この法律において「製造業者」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
一 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
二 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
三 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者
まず、「当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者」が責任主体として規定されており、完成品製造業者、部品・原材料製造業者のみならず、商社などの輸入業者も対象となる。さらに、いわゆる「表示製造者」として、例えばOEM製品の商標が表示する企業(ブランド・メーカー)やPB(=プライベート・ブランド)商品(自主企画商品)の販売元(スーパー、百貨店など)などもPL法の対象となる。
単なる販売業者や修理・整備業者はPL法の対象にはなっていないが、PL法の適用がないとしても、依然として、契約上の責任及び不法行為に基づく責任を追及される余地が残されており、従って、PL法の対象とはならないということが、欠陥製品に関する一切の責任の免除を意味するわけ
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